2008/02/23

[レビュー] 劇場版『空の境界』第三章 痛覚残留

twitterMUBS-web.comの更新しかやっていないと評判のKairiですww
今日は春休みで暇+バイト辞めて暇+心に余裕アリ、という好条件のため、
12日に見た『空の境界』のレビューを書いていきたいと思います。


さて、まずは皆さん、ライトノベル『空の境界』を読んだことあります?
現在市販されている奈須きのこ作品の中では一番古いものってことで、
文体も表現・描写も構成もぶっちゃけ未成熟で取っ付きにくいんですが、
『月姫』『Fate』各シリーズと比べても一番“リアル”な物語だと思います。
なんというか、「日常」が「非日常」と切り離せない、というか。

『月姫』も『Fate』シリーズも基本的に、
昼間は「日常」、夜は「非日常」といった感じみたいですよね。
まぁ『Fate』とかアニメ『Fate/stay night』しか見てないんですが。
とりあえずその境目はものすごくハッキリしてます。

で、『空の境界』は全て「グレーゾーン」。
「日常」的な出来事も、「非日常」的出来事も、
同じようにその辺に転がってるイメージ。
例えば(準)主人公の黒桐幹也にとっては、会社の会計も、
怪しげなマンションの調査も、同じ“仕事”なワケです。
そこら辺が他の2作品とは大きく違う。

この「第三章 痛覚残留」はそれが顕著に表れてるので、
もしこれから映画見てみる/原作読んでみるって考えてる方は、
ぜひそういった登場人物のあり方にも注意してみてくださいね。



さて、レビューに入りましょうか。

まず見てて思ったのは、ホントに画がキレイ
ここ数年、アニメの画質がものすごいペースで向上してますが、
さすがは劇場公開する映画ですね。
最初から最後まで丁寧に作ってました。
特に終盤の浅上藤乃と両儀式のバトルとか、スゴくいいです。
二人とも瞳にCGが入るんですけど、
それが二人の「異常性」をうまく際立たせている。
こういうところは、アニメの強みかな。
まぁ反面、普通に人が歩く動作とかが不自然でしたがww

そしてこれは意外だったんですが、
橙子さんって喋らすとあんなにしっくりくるのか!と。
原作を読んでると、長ったらしいセリフ回しなので、
音にすると絶対テンポ悪くなる、と思ってたんですけど、
声優さんの演出か、いい感じに“名探偵風”になってましたww
「第五章 矛盾螺旋」の戦闘シーンをどう演じるのか、楽しみです。

声優さんと言えば、藤乃の声が期待以上でした。
元々スゴく好きなキャラなんですけど、
“清楚さ”と“狂気”を併せ持つ、難しい役なので、
どんな風に表現するのか、と思ってました。
まぁぶっちゃけキャスト勝ちなんですけど、
能登麻美子さんが藤乃役をやられてるんですね。
…そう、あの「能登かわいいよ能登」の能登さんですw
若干息が多い、柔らかな声を出すんですが、
あの「凶れーーっ!」っていう叫びの壮絶さがやべぇww
あと「痛くて…私、泣いてしまいそうで」という名台詞も完璧でした。
あんな女子高生、いたら速攻でお持ち帰りです★<いない

ぁ、もちろん式も素晴らしかったですよ。
・・・うん、あのヤンギレっぷりとかwww
なんというか事前に予告とかで声聞いてて、
そこでかっちり声とセリフがかみ合っちゃったので、
違和感がなさ過ぎて特に感動を覚えなかったというか。

幹也もイメージ通り、優しさあふれるって感じの声でした。
つーか幹也が辞めた大学のモデルは、我らが明治大学でしたw
メディア棟が映ったとき、「なんか見覚えがある」と思って、
次の学食のカットが出た瞬間に独りで吹いてしまったww
ちなみにきのこ作品の男性キャラじゃ幹也が一番好きなので、
「第七章 殺人考察(後)」のあの名台詞をどう言うか、
めちゃくちゃ期待してますwww


全体を通していうと、
「わかりにくい」「ムダが多い」とよくいわれる『空の境界』を
よくまぁ、あそこまでわかりやすく繋いだな、と。
ぶっちゃけ劇場版でようやくお話として完成した観がw
ぁ、でも湊啓太と幹也のシーンはもっとあるべきかな。
あそこで啓太が抱えてる恐怖って、
根から温和な幹也を怒らせるほど身勝手で醜いんだけど、
でも目の前で仲間を捻切られて殺されちゃ、わかんないでもない。
つかそういうところあっての“リアル”な『空の境界』だし。
そのための描写を削らないで欲しかったなー。
相手に安心して話させるために煙草を吸う幹也とか。
・・・多分幹也視点で物語を見てるから思うんだろうけど。

あとはやっぱりさ、この作品は全編実写で作りたい。
原作から容易にイメージできる色彩、暗さ、モヤモヤとした感じ。
そういうのってさ、日本のホラー映画の得意分野ですよね。
それを応用して実写で撮りたいわー。
てか原作読んでると「撮って」っていわれてるみたいで…www
「痛覚残留」なら藤乃役に・・・蒼井優とか?
おそらく演技ではなく、透明感のある彼女だけど、
意外とこういう狂気を孕んだ役をやらせてみたら面白いかも、なんて。
ま、問題は両儀式を演じられる役者が多分いないっていうw
ルックスとか動きの問題じゃなく、深さの問題で。
あとCGとかの予算の問題もあったね。
橋とかマンションとか崩れるし。



ところでちょっと関係ないことで思ったことが1つ。
正直DVDの発売を待った方がいいかもしれません。
というのも、そもそもチケットすぐ完売しちゃって見れないし、
運良く見れても、周りはいかにもなオタクばかりなんですよ。

・・・そうなんですよ、ホンっっトにオタクしかいない。

正直、俺スゴくビックリしました。
もちろん、奈須きのこって作家が有名なのは、
『月姫』や『Fate』と言ったゲームがあるからだし、
コレってぶっちゃけエロゲーだから、
やってるのはほとんどゲーマーはじめオタクですよ。
でも“文学”と称される程の作家の原作で、
あれだけの美麗な画を誇っているにも関わらず、
見ている人の比率があまりに偏ってる。

別にオタクを非難/中傷する気はないんですが、
こと作品鑑賞については絶対に俺は相容れない。

だって映画を見終わったあとの、あの独特の雰囲気、
「はぁ〜・・・」っていうため息の感じが全然ない。
前々からニコ動でアニメとか見てると思うんですが、
オタクのアニメの見方って鑑賞じゃない、観察なんですよ。
「原作通りか」とか「作画おかしくないか」とか
そういったものをチェックしてるだけって感じがする。
だからどうしてもあの雰囲気だけには耐えられない。

まぁ原作読んで来てる人がほとんどでしょうし、
お話それ自体がわかりきってるってのもあるでしょう。
それに俺だって本編とは関係ないところも見てますよ。
カメラワーク、BGM、構成、その他諸々。
でもそれは作品の内容をどう表現するか、という目線で、
中身が面白くないと表現がよくてもクソだと思う。
そういうところで、ああいう雰囲気とか
ニコ動の作画厨ってホントに耐えられないんですよね。


結局俺はその雰囲気に耐えられなくて、
エンドロール終わった瞬間に出口へ急ぎました。
同じようなことを考える方はDVD待った方がいいと思います。

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